#13 人生初の作・演出は…
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ウエダです。
名古屋に来るまでは関西で演劇をやってたんですが、その時のことを知らない人がこちらではほとんどだと思うので、自己紹介がてら書きます。
人生初の脚本、いわゆる処女作は、大学祭での劇でした。催し物のひとつに、各学科が専攻している分野をテーマに劇をする、というものがあったのです。
当時は別にこの世界に興味はなくて、誰かがやらないといけないし、余興等でのコントの台本みたいなのはよく書いてたし、文章を書くのは好きだったので軽い気持ちで引き受けました。まさかこんなことになろうとは……。
僕は国文学科だったので、往年の文学作品を取り扱った話を書きました。
タイトル:『ぶったぎ』
何だろう、「ぶったぎる」の「る」まで言い切らずに自分が切られた的な……? ホンがもう手元にないのでうろ覚えなんですが、【売れない小説家がベストセラーを出したことで売れ線へ走っていき、自分のアイデンティティを見失っていく】というのが本筋だったはず。
で、それを諌めるのが、その小説家が書いてる本の主人公。本の中から飛び出してくるわけです。最初は自由に振る舞って小説家を翻弄するものの、中盤からは自分が展開に踊らされるはめになる。(安易に悲劇的なシチュエーションにされたり)
そこに、文学作品を彷彿とさせる名シーンのオマージュやタイトルのパロディをやりつつ、時折ユニコーンの楽曲が流れてキャストが歌うというとっ散らかった話。あの頃の自分に言いたい。
もっとやりようがあったろう……!!!
演出や指導も、わからないからめちゃくちゃだったし、荒唐無稽が過ぎた舞台だった。でも、皆でひとつのものを作り上げる達成感はあった。
他のセットに比べてやけにリアルな、ちゃんとポンプで汲み上げて水が流れる仕様の小便小僧は一生忘れない。肝心の本番でコンセントが抜けてて慌てて差しに行ったことも、し〜〜んとした場面に鳴り響くモーター音も忘れない。
これまでの歴史でもかなりの異色作で、審査員からの得点も高かったらしい。しかし、規定時間を大幅にオーバーしており、結果はあえなく「環境賞」。“練習場所を綺麗に使っていたね”という、いわばお情けの賞である。
屈辱の賞状は「こんなもん要るか!!!」と引き裂いて鍋敷きにした。思えばこの頃から反体制思想は始まったのかもしれない。
まあ、第0作みたいなもんだけど、こんな感じでウエダの劇作人生はスタートしたのである。
bye.
(学祭期間中、深夜の駐車場でスタントごっこをする金髪の私)
笑。